2026.01.30

夫名義の家だと妻の権利はどうなる?【離婚時・死亡時ごとに解説】

こんにちは、はればれ商店の金本です。当ページをご覧いただき、ありがとうございます。

ご相談の中で意外と多いのが、こんなお悩みです。
「家は夫名義。私は住んでいるだけ。もし離婚になったら“出ていけ”って言われるんでしょうか…」
「夫が亡くなったら、この家に住み続けられるのかな…」

結論から言うと、夫名義の家であっても、妻の立場が“ゼロ”になるわけではありません。
ただし、離婚死別では論点が変わりますし、やり方を間違えると共有名義などで火種を残してしまうこともあります。

今日は「いま住んでいる家が夫名義」という前提で、よくあるケースを整理します。
※この記事は一般的な考え方の整理です。実際の判断は、財産の出どころ・婚姻期間・相続人の構成・ローン状況などで変わります。

前提:名義(登記)=すべて、ではありません

「名義が夫=妻は何も言えない」と思われがちですが、現実はもう少し複雑です。

  • 離婚なら 財産分与(夫婦で築いた財産を分ける)
  • 死別なら 相続 と 配偶者が住み続けるための制度

ざっくり言うと、この2本立てで考えることになります。

なお用語としては、共有名義=登記上の名義人が複数、共有持分=それぞれの割合(例:1/2)という関係です。(記事では読みやすさを優先して、主に「共有名義」で統一します。

(1)離婚の場合:夫名義の家でも“財産分与”の対象になり得る

離婚でまず見るのは「家を買った時期」

ポイントはシンプルです。

  • 婚姻中に購入した家:財産分与の対象になりやすい
  • 婚姻前に夫が購入していた家:妻側から主張しづらいことが多い

ここを混同すると、話が一気にこじれます。

「出ていけ」と言われたら?

まだ正式に離婚していないなら、婚姻関係は継続中です。
さらに、婚姻中に購入した家なら、財産分与の場面で妻側にも権利が及ぶことが多く、一方的に追い出される前提で考えなくて大丈夫です。
とはいえ、権利の話と「今後その家をどうするか」は別問題。最終的には話し合いが必要になります。

財産分与でよくある“着地”は3パターン

家をどう分けるかは、現実的には次のいずれかになります。

  • 1.売却して、売却代金を分ける(夫婦とも住まない)
  • 2.夫が住む → 妻に「代償金(買い取り分)」を支払う
  • 3.妻が住む → 夫に「代償金(買い取り分)」を支払う

たとえば家の評価が2,000万円なら、単純化すると持分イメージは半分ずつで、出ていく側に1,000万円相当を清算する…という発想になります。
ここでよくあるのが、「代償金を払えない」という問題です。

代償金が払えないから「共有名義」は要注意

代償金の代わりに「じゃあ共有名義にしておこうか」となりがちですが、ここは慎重に検討した方がよいと考えます。なぜなら共有名義にすると、将来の売却・賃貸・管理などで 共有者の同意が必要になり、関係が悪いほど動けなくなるからです。

共有は時間が経つほど、相続で共有者が増えて複雑化しやすい。結果として、モヤモヤが長期化しやすいものです。
「いま楽をするために、将来の爆弾を残していないか」
ここは一度立ち止まって考えてみてください。

離婚時の名義変更(妻が住むなら検討したい)

妻がそのまま住むケースでは、名義変更を検討する意味があります。

  • 夫がローンを滞納すると、競売などリスクが出る
  • 連絡を取りたくない相手と、名義や支払いで関わり続けることになる

また名義変更には税金が絡むことがあり、代表的には次のようなものが論点になります。

  • 贈与税
  • 登録免許税
  • 譲渡所得税
  • 不動産取得税

ただ、離婚に伴う財産分与として整理できるなら、贈与税や譲渡所得税が問題になりにくいケースもあります。「いつ・どういう名目で名義を動かすか」は、段取りが大事です。

(2)死別の場合:配偶者が住み続けるための制度がある

夫が亡くなったら、家を出ないといけない?

死別の場合は相続が発生しますが、近年は配偶者が住み続けるための制度が整っています。
代表的なのが 配偶者居住権。簡単にいうと、一定の条件のもとで、亡くなった方(夫)が所有していた家に無償で住み続けられるという考え方です。

ただ、注意点もあります。

  • 相続開始時点で同居していたかなど、状況によって認められ方が変わる
  • “誰でも使える万能カード”ではない

「住めるはず」と思い込んで動かず、あとから揉めるのが一番しんどいので、早めの整理が安心です。

死別時の名義変更は「相続」の話になる

死別後に家を誰が引き継ぐかは、相続人の構成によって変わります。
そして、不動産は現金と違って“割り算”が難しいので、ここでも共有名義が出てきがちです。

相続での共有名義はトラブルになることが多いです。たとえば子どもと共有にすると、将来の売却や活用のたびに同意が必要になり、次の世代にまで影響が残ります。
「不動産は誰が持つのか」
「現金など他の財産とどうバランスを取るのか」
この設計が大事です。

よくあるご質問(例)

Q:夫名義の家で、離婚前に「出ていけ」と言われたら?

まずは落ち着いて、離婚成立前かどうか、家をいつ買ったかを確認してください。前提が違うと話が変わります。

Q:財産分与って結局どう考えればいい?

ざっくり言うと、夫婦で築いた財産を公平に分けるための制度です。名義だけで決まるものでもありません。

Q:共有名義にしておけば丸く収まる?

“その場しのぎ”になりやすいです。将来の売却・管理・相続を考えると、火種が残りやすいので慎重に。

おわりに:家の問題は「早めに整理」がいちばん効きます

離婚でも相続でも、家(不動産)が絡むと、感情・権利・お金が一気に絡まってきます。
そして多くの場合、時間が経つほど選択肢が減ります(共有者が増える、関係が悪化する、資料が見つからない…など)。

「この状況で、何から手をつけたらいいか分からない」
「共有名義にしてしまいそうで不安」

そんなときは、状況の整理だけでも大丈夫です。ご遠慮なくお電話でご相談ください。お話しいただくだけで、次にやるべきことが見えてくることも多いです。