解決したい - 財産分与や相続税にまつわるトラブル 2024.03.25

共有名義で相続するメリット・デメリットとは|トラブルが起きやすい?

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親が亡くなった際などに相続の話が出てきますが、たとえば子供2人で不動産を相続するとなれば、共有名義にする話も出てくるでしょう。

一見すると資産相続に不平等なく良い仕組みにも見えますが、デメリットも多くあります。その点を知らずに共有名義にすると親族間であってもトラブルに発展する可能性は十分にあります。

この記事では相続のタイミングで共有名義を検討している方向けに、注意点や共有名義における相続の実際の流れを紹介します。

不動産の共有名義とは

そもそも不動産の共有とは、1つの不動産を複数人で所有する状態を指します。

不動産を現金のように分割することは現実的にむずかしいため、共有持分という形で所有権を分けて保持するといったイメージです。

なお相続における配分は法定相続分に従うことが一般的で、配偶者と子供2人が相続対象の場合、相続される持分は下記になります。

  • 配偶者:1/2
  • 子供:1/4ずつ

上記のように持分が配分され、例の場合だと3人で1つの不動産を共有所有している状態です。

共有名義で相続するメリット

では共有名義で相続するメリットはどんな点にあるでしょうか。基本的には以下の2点です。

相続人同士で不公平感がない

単純ではありますが、法定相続分に従い相続することで特定の人に偏りが発生することがありません。

そのため相続人同士で不平等感を感じることがなく、トラブルに発展しづらいという観点です。

なお不動産を特定の1人だけが相続するような場合は、代償分割のような方法で代償金を支払ってもらうやり方もあります。

代償分割は不動産の価値に基づき、他の相続人に渡すお金を決める方法です。なので不動産を取得する人は不動産の価値が低い方が好ましいですし、代償金を受け取る人は不動産の価値が高い方が好ましい状態となります。

不動産価値の査定は複数方法があるため、どの観点で価値を定めるのかといった点で1回は話し合いが起きるため、トラブルが起きやすい状態と言えるでしょう。

遺産分割を行いやすい

共有名義で相続する場合は、法定相続分に従い持分を分けますので、遺産分割が簡単に行えます。

逆に1人だけが不動産を相続するとなった場合、相続に関する登記費用などの負担はどうするかと、細かい点でも議論が発生しやすい状態となります。

ほかにも相続対象の不動産が賃貸収入を得ている物件である場合、その賃貸収入をどのように分配するのか、といったケースでも共有名義であれば持分割合に従い分配するだけですので、相続対象同士で意識のずれが起きにくいと言えます。

こういった観点も含め、遺産分割を行いやすいことが共有名義で相続するメリットです。

共有名義で相続するデメリット

共有名義で相続するデメリット、およびトラブルの根源ともなる問題点は下記の3点です。

単独で不動産の管理ができない

共有不動産でトラブルが起きやすい原因の1つに、単独で管理面の判断が行えないことがあります。

そもそも不動産の管理については、大きく下記3つに分類されます。

  • 保存行為→修理など、現状を維持する行為
  • 管理行為→貸すことを代表に、利用改良する行為
  • 変更行為→売却や改築など、性質を変更する行為

上記の行為に対し、必要な持分割合および条件は下記のとおりです。

  • 保存行為→単独で可能
  • 管理行為→過半数の同意が必要
  • 変更行為→全員の同意が必要

修理などであれば共有者の同意は必要ありません。しかし賃貸として活用したい、使用してないので売却したいと思っても、持分割合によっては共有者の同意が必要です。特に売却や改築に関しては、自身が9割の持分を所有していても、共有者がNOと言ったら実行不可能です。

そのため不動産の扱いにおいて意見が合わず、たとえ親族間であっても険悪な雰囲気になってしまったり、最悪のケースでは裁判に発展する事例もあります。

権利関係が複雑になる可能性がある

親が亡くなり兄弟同士で共有した場合は、まだ権利関係は複雑ではありません。

しかし兄弟それぞれの子孫に相続されたり、片方が共有持分を売却するなどしたら、共有者は段々と増えていきます。すると見知らぬ人と共有関係になっているケースもあり、権利関係は複雑となります。

兄弟など近い親族関係であれば話し合いも進みやすい傾向がありますが、あまり面識のない親族と共有関係にある場合は、そもそもの話し合いが進みづらい傾向があり、ただでさえむずかしい共有不動産の扱いが、よりむずかしくなると言えます。

共有者とトラブルになるリスクを常に抱える

ここまでお話ししたように共有名義で不動産を相続すると、共有者とトラブルになる可能性を常に抱えるようになります。

自分たちは親しいから...と思っていても、金銭が絡む判断となるとお互いの価値観もあるため話がまとまらないケースは多々あります。

そのためトラブルが発生するかもしれない状況下で過ごす、ということも1つのデメリットとして考えておいても良いでしょう。

共有名義で相続した場合の解消方法

すでに共有名義として相続した場合の、解消方法について3つ紹介します。

ほか共有者の持分を買い取る

共有者の合意は必要ですが、共有者の持分を買い取ることで単独名義にする方法があります。

注意点として、税金面の話も紹介します。

まず売却した共有者は譲渡所得税の発生の可能性があること、そして市場価値よりもはるかに安い金額で売買を行った場合は贈与税支払いの可能性があることです。

特に後者の場合、売買は市場価格をもとに適正な金額で取引される必要があり、親族間であるからと半額以下の金額でやりとりを行うと「贈与された」とみなされ贈与税の支払いが発生する可能性もあります。

共有者全員で不動産を売却する

不動産を売却して共有関係を解消したい、そして共有者も同じことを考えている場合は共有者全員で不動産を売却することをおすすめします。

この次に紹介しますが、売却には「不動産全体の売却」と「共有持分の売却」があり、不動産全体の売却の方が高額かつ売れやすい傾向があります。

これは当然で、共有持分の売却はつまり、不動産の一部の権利を売却するもので、純粋に不動産を購入したい人には需要がないためです。

ですので共有者間で売却の意思が統一されていたら、不動産全体の売却を行うことをおすすめします。

自身の持分だけを売却する

自身は共有関係を解消したく、売却を考えているが共有者は売却を考えていないといった場合は、自身の持分だけを売却する手段を検討しても良いでしょう。

当然持分だけの売却となるため売却額は低くなる傾向がありますが、共有者の同意も必要なく実行できるため骨の折れる話し合いも行う必要は基本的にはありません。

ただ共有持分はその性質上、一般的な不動産では取り扱ってもらえない傾向があり、共有持分の取り扱いに慣れた業者に依頼することをおすすめします。

弊社も共有持分の取り扱いは熟知しており、共有関係の問題解決に注力しております。また弁護士や税理士など各業界のプロとも連携して、相談者様の悩みにあった方法を提供しておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

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共有名義で相続することに関するよくある疑問

最後に共有名義で相続することに関するよくある疑問を紹介します。

相続の流れや配分はどう決まる?

相続に関する主な流れは下記になります。

  • 死亡届けの提出(7日以内)
  • 世帯主変更など各種手続き(14日以内)
  • 相続人の調査や遺言書の確認(3ヶ月以内)
  • 所得税の準確定申告(4ヶ月以内)
  • 遺産分割協議の開始や相続登記(10ヶ月以内)

上記の流れに従い、相続手続き等を行います。

なお相続に関する配分は、法定相続分に従うことが一般的です。

法定相続人順位
被相続人の配偶者常に相続人となる
被相続人の子ども(すでに子どもが亡くなっている場合は孫)第1順位
被相続人の父母(すでに父母が亡くなっている場合は祖父母)第2順位
被相続人の兄弟姉妹(すでに兄弟姉妹が亡くなっている場合は甥姪)第3順位
参考:国税庁「No.4132 相続人の範囲と法定相続分

相続前に共有名義にしない方法はある?

方法はいくつかあります。たとえば不動産以外に相続財産がある場合は、配偶者は不動産を相続想像し、それ以外の財産は子供同士で相続するといった形です。

この場合だと配偶者の単独名義で不動産を所有することが可能となり、共有名義とはなりません。

ただ不動産の価値が仮に3,000万であり、残りの相続財産が価値として500万ほどしかなく子供が法定相続分を相続できない場合は、話が少しむずかしくなります。

上記の場合だと、たとえば土地を分筆するなど対策がありますが、結局はその状況次第によるため、弁護士などに適切な相続方法がないか相談してみるのもいいでしょう。

共有名義で相続後に名義変更はできる?

名義変更は可能です。

たとえば共有者の持分を買い取った場合、単独名義となるため所有権移転登記を通して名義変更を行う形となります。

共有名義人の片方が死亡した場合はどうなる?

共有名義人の片方が死亡した場合は、下記の表に従いその方の共有持分は相続されます。共有名義人の方に移転されるわけではありません。

法定相続人順位
被相続人の配偶者常に相続人となる
被相続人の子ども(すでに子どもが亡くなっている場合は孫)第1順位
被相続人の父母(すでに父母が亡くなっている場合は祖父母)第2順位
被相続人の兄弟姉妹(すでに兄弟姉妹が亡くなっている場合は甥姪)第3順位

今回の場合だとすでに共有関係のため、このようにして相続が発生するたびに共有者が増える構造となります。

まとめ

不動産を共有名義で相続するのは、平等性もありメリットが多いように見えます。

しかし後々トラブルが発生しやすい状況を作ってしまうことを考えるとデメリットも多く、共有名義で相続しない方法を検討することも重要です。

すでに共有名義で相続を行った場合で、トラブルの種を残したくない方は、共有関係の解消を考えてもいいでしょう。

なお弊社は共有持分の取り扱いは熟知しており、共有関係の問題解決に注力しております。

また弁護士や税理士など各業界のプロとも連携して、相談者様の悩みにあった方法を提供しておりますのでまずはお気軽にご相談ください。

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