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公開日:2024年01月22日

共有持分を相続放棄したい時の手続きとは?トラブルを避ける対策法も解説

相続はプラスの遺産だけではなく、借金などのマイナスの遺産も引き継ぐことになります。

そこでマイナスの遺産を相続しないために、相続放棄を選ぶ方が多いです。相続放棄はマイナスの遺産を相続しなくて済みますが、一方でデメリットもあります。

本記事では相続放棄の概要や手続きの流れ、知っておかないと損をする内容をまとめているので、相続の問題に悩んでいる方は参考にしてみてください。

相続放棄とは

相続や相続放棄の概要については、裁判所の「相続の放棄の申述」で記載されています。

相続が開始した場合,相続人は次の三つのうちのいずれかを選択できます。

1.相続人が被相続人(亡くなった方)の土地の所有権等の権利や借金等の義務をすべて受け継ぐ単純承認

2.相続人が被相続人の権利や義務を一切受け継がない相続放棄

3.被相続人の債務がどの程度あるか不明であり,財産が残る可能性もある場合等に,相続人が相続によって得た財産の限度で被相続人の債務の負担を受け継ぐ限定承認

相続人が2の相続放棄又は3の限定承認をするには家庭裁判所にその旨の申述をしなければなりません。ここでは2の相続放棄について説明します。

引用:裁判所「相続の放棄の申述

相続放棄は、被相続人が持っていた財産の相続を一切行わないことを指します。

放棄対象は被相続人が所有していた全資産、すなわち預金や不動産といった資産だけではなく、負債やその他のマイナスの側面も含まれます。

したがって放棄を行うと、財産だけでなく負債も相続する必要はありません。

裁判所に適切な書類を提出すると、この相続放棄が正式に受け入れられます。

個人で相続放棄の手続きを進められますが、専門的な知識が不足していると書類上のミスや漏れが生じ、結果的に申請が通らない可能性も考えられるでしょう。

そのため専門的な知識がない方は弁護士に依頼し、相続放棄の全手続きを適切に進めてもらうのが安心でしょう。

相続放棄のメリット・デメリット

ここからは相続放棄のメリットとデメリットについて紹介します。

相続放棄のメリット

まずは相続放棄のメリットを2点お伝えします。

  • 借金を引き継ぐ必要がない
  • 相続トラブルに巻き込まれない

借金を引き継ぐ必要がない

被相続人に負債があった場合は、相続人がそれを引き継いで返済しないといけません。

例えば、被相続人の借金が2,000万円の場合、子どもが2人いれば1人1,000万円ずつの負債を引き継ぎます。

なお、遅延損害金も支払わなければいけません。そこで相続を放棄することで、借金を返済する必要がなくなり債権者から返済を催促される心配もありません。

相続トラブルに巻き込まれない

相続でしばしば見受けられるトラブルが、遺産分割協議や遺産分割手続きでの言い争いです。

相続放棄をすると相続人ではなくなるので、遺産分割協議や遺産分割手続きの手間が省かれ、相続人の間での言い争いに巻き込まれる心配もありません。

そもそもの相続人の間のトラブルを避けるためには、遺言書を作成しておくことが最も有効です。

遺産の分与について生前に遺言書を作っておけば、トラブルを未然に防げるでしょう。

相続放棄のデメリット

次に、相続放棄のデメリットについて3つ解説します。

  • すべての遺産が放棄される
  • 後に撤回や取り消しはできない
  • 相続人が変わりトラブルが発生する可能性がある

すべての遺産が放棄される

相続放棄を行うということは、相続人ではなくなることを意味します。つまり、すべての資産の相続を放棄するわけです。

もし被相続人の家に住んでいる場合は、そのまま住み続けることはできず出て行く必要があります。

他にも後から思わぬ資産が見つかった場合でも相続できず、共有持分のみの放棄もできません。

後に撤回や取り消しはできない

相続放棄をすると、後から撤回や取り消しができません。

そのため、相続放棄をして後から思わぬ資産がみつかった時には、すでに相続人ではないので引き継ぎできません。

相続放棄は負債を引き継がないでいいですが、逆に財産も引き継ぎできないので手続きを進める前にしっかりと確認し、慎重に検討しましょう。

相続人が変わりトラブルが発生する可能性がある

例えば、被相続人の妻と子どもが相続放棄をすると、その相続権は被相続人の親に移ることになります。

そこで多額の借金があると、被相続人とのトラブルにもなりかねません。

しかし、もし被相続人の親が相続を放棄すると次は、その兄弟に相続権が移ります。

そのため、相続放棄を行うのであれば関係するすべての人に事前に説明をしておかなければ、トラブルの元になってしまいます。

共有持分を相続放棄するとどうなる?

では、共有持分を相続放棄するとどうなるのでしょうか。もし、共有持分を放棄すると基本的には次の順位の人物に引き継がれます。

まずは、前提となる法定相続分と相続順位について解説します。

前提:法定相続分と相続順位について

相続順位法定相続人と法定相続分
第1順位(子どもがいる場合)配偶者:1/2子ども:1/2※人数で分配
第2順位(子どもがいない場合と親がいる場合)配偶者:2/3親:1/3※人数で分配
第3順位(子どもも親もいない場合)配偶者:3/4兄弟姉妹:1/4※人数で分配

相続は、相続順位と法定相続分に従い話が進みます。

もし、相続人がいない場合は国庫へ帰属することとなります。なお、土地を相続した場合は相続土地国庫帰属制度を活用すれば一定の要件を満たしていれば、国庫に帰属が可能です。

参考:政府広報オンライン「相続した土地を手放したいときの相続土地国庫帰属制度

また、相続放棄の制度によって、後の順位の人が本来は相続することがなかった財産を相続する場合は、相続放棄した人からの贈与ではないので贈与税を払う必要はありません。

相続放棄すると次の順位の人物に引き継がれる

夫・妻・長男・次男の家族構成の場合、最も順位が高い配偶者が1/2を相続し、長男次男で残りの1/2を均等に分ける形となります。

もし、長男だけが相続放棄をした場合は次男に1/2、兄弟の両方が相続放棄を行った場合は、配偶者が2/3を相続し故人の親が残りの1/3を相続します。

このように、「同順位の相続人の取得割合が増える」「同順位の人がいない場合は次の順位に移る」という形で相続人と相続の割合が決定すると覚えておきましょう。

民法では、具体的に下記のように定められています。

(持分の放棄及び共有者の死亡)

第255条 共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。

※民法255条 相続放棄

ほかの相続人がいなくなった場合

相続放棄が連続する等などして、相続人がいなくなった場合は国庫へ帰属されます。

国庫に帰属する前には、清算手続きや特別縁故者への財産分与といった手続きを行って、残った相続財産のみが国庫に帰属します。

また、相続した土地について「遠くてなかなか行けない」「手入れができずに放置することになる」と不要になる場合は国庫に帰属が可能です。

相続土地国庫帰属制度については、法務省「相続土地国庫帰属制度について」で詳しく解説されています。

共有持分の相続放棄の流れ

共有持分に関する相続放棄の流れは下記のとおりです。それぞれの詳細を解説します。

  • 相続遺産調査を行う
  • 相続放棄に関する資料を用意する
  • 家庭裁判所に相続放棄を申し立てる
  • 照会書に回答を記入して再送する
  • 相続放棄申述受理通知書を受け取り完了

相続遺産調査を行う

前述した通り、一度相続放棄をすると後から思わぬ遺産が見つかった場合でも、相続放棄の撤回や取り消しができません。

そのため、相続放棄を行う前にプラスの遺産とマイナスの遺産が、どれくらいあるのかを把握しておくことが重要です。

預貯金の確認の際は、金額だけではなく月々の支払いが生じていないかを確認しましょう。

相続放棄に関する資料を用意する

相続放棄には、以下の3点が必要になります。

  • 相続放棄申述書(相続放棄の意思表示を記した書類)
  • 被相続人の住民票除票または戸籍附票
  • 申し立てる人の戸籍謄本

相続放棄申述書は20歳以上か、20歳未満かで用意する書類が異なります。

上記に加えて、誰が申し立てているのかによって追加で書類が必要です。

申立人が被相続人の配偶者上記の書類に加えて、被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本が必要
申立人が被相続人の子どもや孫(代襲者)の場合上記の書類に加えて、以下2点が必要
・被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
・申立人が孫の場合、本来の相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
申立人が被相続人の両親や祖父母(直系尊属)上記の書類に加えて、以下3点が必要
・被相続人の出生時から死亡時までの全ての戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
・被相続人の子どもで死亡者がいれば、その子どもの出生時から死亡時までの戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
・被相続人の直系尊属に死亡者がいれば、その者の死亡の記載のある戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
申立人が被相続人の兄弟姉妹や甥姪上記の書類に加えて、以下4点が必要
・被相続人の出生時から死亡時までの全ての戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
・被相続人の子どもで死亡者がいれば、その子どもの出生時から死亡時までの戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
・被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
・申立人が甥姪の場合、本来の相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本

家庭裁判所に相続放棄を申し立てる

相続遺産調査を行った後に相続放棄をすることを決定すれば、被相続人の住民票の届出のある場所を管轄する家庭裁判所へ相続放棄を申し立てましょう。

相続放棄の申述を行う人は、相続人本人が申し立てるのが原則です。ただし、相続人が未成年の場合は、その親などの法定代理人が申し立てを行います。

相続放棄の申し立ては、相続が発生してから3ヶ月以内という期間が設定されているので手続きは早めに行うようにしましょう。

申述は,民法により自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内にしなければならないと定められています。

出典:裁判所「相続の放棄の申述

照会書に回答を記入して再送する

家庭裁判所に相続放棄の申し立てを行ってから、10日ほどで家庭裁判所から相続放棄に関する照会書が送付されます。

送付される書類に回答して、家庭裁判所に再送する必要があるので受け取って放置しないように気をつけてください。

相続放棄申述受理通知書を受け取り完了

書類を再送してから、10日ほどで相続放棄申述受理通知書が届けられ正式に相続放棄が認められます。

共有持分の相続放棄に関するよくある疑問

最後に共有持分の相続放棄に関するよくある疑問を紹介します。

  • 相続放棄はいつまでに行う必要がある?
  • 相続放棄により代襲相続は発生する?
  • 相続放棄により税金は発生する?
  • 相続放棄より良い共有関係の解消方法はある?

相続放棄はいつまでに行う必要がある?

相続放棄の申述は、相続が始まったと知ってから3ヶ月間(熟慮期間)とされています。

この期間をすぎてしまうと、家庭裁判所で相続放棄の申述を受け入れてくれなくなります。

相続放棄を考えている場合は、本記事の「共有持分の相続放棄の流れ」を参考にしてください。

相続放棄により代襲相続は発生する?

相続放棄により、代襲相続は発生しません。

代襲相続とは、ある相続人が被相続人の死より前に亡くなっている場合、その相続人の子がその地位を受け継いで相続する仕組みです。

例えば、子どもが親の死前に亡くなってしまい、後にその親が死亡すると、子どもの子ども、すなわち孫が代襲相続の権利を持ちます。

ただし、もし相続を放棄した場合は、代襲相続の権利も消滅するので孫が財産を相続できません。

相続放棄により税金は発生する?

相続放棄を行えば、一切の遺産(プラスの遺産とマイナスの遺産)を相続しないので税金はかかりません。

しかし、「生命保険金」や「死亡退職金」は相続放棄を行っていても相続の権利があり、受け取ると相続税が発生します。

次に掲げる財産も相続税法の規定などにより相続税の対象となります。

(1) 死亡退職金、被相続人が保険料を負担していた生命保険契約の死亡保険金など

(2) 被相続人から生前に贈与を受けて、贈与税の納税猶予の特例を受けていた農地、非上場会社の株式や事業用資産など

(3) 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税の適用を受けた場合の管理残額(死亡日において受贈者が23歳未満であるなど一定の場合を除きます。)

(4) 結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税の適用を受けた場合の管理残額

(5) 相続や遺贈で財産を取得した人が、被相続人の死亡前3年以内に被相続人から財産の贈与を受けている場合(一定の特例を受けた場合を除きます。)

(6) 被相続人から、生前、相続時精算課税の適用を受けて取得した贈与財産

(7) 相続人がいなかった場合に、民法の定めによって相続財産法人から与えられた財産

(8) 特別寄与者が支払を受けるべき特別寄与料の額で確定したもの

出典:国税庁「No.4105 相続税がかかる財産

「生命保険金」や「死亡退職金」は「みなし相続財産」に該当します。

相続放棄より良い共有関係の解消方法はある?

共有関係に加わりたくない場合は相続放棄ではなく、共有持分の売却がおすすめです。

というのも、共有持分を相続してすぐに第三者へ売却すれば共有関係に巻き込まれずに済むからです。

共有持分の売却については、「共有持分は売却できる?売却手段や実際の流れをわかりやすく紹介!」で詳しく解説しています。

まとめ

相続放棄を行えば、負債を相続せずに済むメリットがありますが、一度放棄してしまうと撤回できないというデメリットも存在します。

相続放棄を行えば、相続権は次の順位に引き継がれる仕組みになっているので、相続放棄をする場合は関係者に事前に相談しておくとトラブルを避けられます。

また、相続放棄は相続が開始したと知ってから3ヶ月以内に、家庭裁判所に申述しないといけません。

したがって、相続放棄を考えている方は早めに手続きを進めておきましょう。