もっと知りたい - 相続による整理と相続税 2024.03.25
亡くなった親の土地名義変更は必須?誰の名義にするのが適切か解説!
親が亡くなり相続が発生した際、親が所有していた土地を名義変更する必要が出てきます。
いつまでに、どう実施すべきか不明な点も多いでしょう。
この記事では亡くなった親の土地の名義変更に関する基礎知識から、かかる費用、流れ、相続の際の注意点を紹介します。
この記事の目次
亡くなった親の土地の名義変更は必須?
2024年4月から改正された法律が施行されることで名義変更は必須となります。
ですので土地の名義変更に関しては「実施すべきもの」と捉えておいて良いでしょう。
登記簿の名義変更が必要な理由
そもそも名義変更をすべき理由は、該当する不動産の管理面で問題が出やすいためです。
名義変更を行わなければ、登記簿上では死んだ方の所有となり続けており、その状態では売却や賃貸ができません。
また複数人で相続する際に名義変更が実施されていない状態だと、登記簿上で結局誰のものか定義されないため、あらゆる場面で問題が発生しやすくなります。
登記簿の名義変更はいつまでに実施すべきか
2024年4月の法改正以降、相続発生から「3年以内」に実施する必要があります。
仮に3年経っても名義変更が行われなければ、10万円以下の罰金を支払う必要が出てきます。
亡くなった親の土地の登記簿名義変更にかかる費用
ここからは、亡くなった親の土地の名義変更にかかる費用を解説します。なお発生する費用は、主に下記3つです。
相続税
相続した際に発生する費用のため、簡単に紹介します。
相続税は下記の計算式で求めます。
- 相続税=課税遺産×税率
- 課税遺産総額=不動産表額ー基礎控除
なお基礎控除は、以下の表の通りです。
相続人の人数 | 基礎控除額 |
---|---|
1人 | 3,600万円 |
2人 | 4,200万円 |
3人 | 4,800万円 |
4人 | 5,400万円 |
5人 | 6,000万円 |
基礎控除を引き、1人あたりの課税遺産額が決まれば下記の税率を基に相続税が決定されます。
課税対象額 | 相続税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | なし |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1700万円 |
3億円以下 | 45% | 2700万円 |
6億円以下 | 50% | 4200万円 |
6億円超 | 55% | 7200万円 |
相続税に関するくわしい例などは別記事でも紹介しているため、合わせて確認してみてください。
登録免許税
登録免許税とは、所有権登記をする際に国に納める税金です。算出方法は下記になります。
- 登録免許税額=課税対象額×税率
課税対象額は固定資産税評価額を意味しており、固定資産評価証明書等で確認可能です。また税率については、0.4%です。
そのため課税対象額が2,000万円であれば、登録免許税は2,000万円×0.004(0.4%)で8万円となります。
司法書士依頼代
相続登記に関する諸々の処理は、司法書士に依頼することも可能です。
なお司法書士依頼代は、相場にはなりますが約5万円〜8万円ほどになります。
自分で処理することも可能ですが、手続きの流れが不安な方や面倒な方は依頼することをおすすめします。
亡くなった親の土地の名義変更を自分で行う流れ
つづいて、亡くなった親の土地の名義変更を自分で行う流れを紹介します。
相続人を決める
まずは相続人を決定します。なお相続人は下記の法定相続人の考えに基づき、決定することが一般的です。
法定相続人 | 順位 |
---|---|
被相続人の配偶者 | 常に相続人となる |
被相続人の子ども(すでに子どもが亡くなっている場合は孫) | 第1順位 |
被相続人の父母(すでに父母が亡くなっている場合は祖父母) | 第2順位 |
被相続人の兄弟姉妹(すでに兄弟姉妹が亡くなっている場合は甥姪) | 第3順位 |
なお後にも説明しますが、不動産を相続によって共有名義にするのは今後トラブルが発生しやすい背景もあり好ましくありません。
そのため遺産分割協議等で、単独名義で相続できるよう調整することをおすすめします。
必要書類を揃える
相続人が決まったら、主に以下の書類を揃えます。
- 被相続人の戸籍謄本および除籍謄本
- 被相続人の住民票
- 相続人の住民票
- 法定相続人全員の戸籍謄抄本
- 遺産分割協議書もしくは遺言書
- 固定資産評価証明書
それぞれ被相続人および相続人の本籍地の役場で発行が可能です。
登記申請書を作成する
必要書類も揃ったら、実際に登記申請書を作成します。
なお登記申請書については、フォーマットと記載例を法務局が用意しておりますので、そちらを参考に記載を進めていきましょう。
»参考:法務局「不動産登記の申請書様式について」
法務局に提出する
登記申請書と必要書類が揃ったら、管轄の法務局に提出します。
提出については窓口で手渡しか郵送、オンラインでも可能です。
登記識別情報通知を受け取り完了
約1〜2週間で、登記識別情報通知が発行されます。この通知が権利証となり、名義変更は完了となります。
亡くなった親の土地の名義は誰にするのが最適?
ここからは、亡くなった親の土地の名義は誰にするのが最適かの詳細を紹介します。適当に決めると後にトラブルが発生する可能性も大いにあるので、注意すべき点です。
配偶者に名義変更する場合
配偶者に名義変更するメリットは、子供同士で相続争いが発生しないことです。
子供が複数人いる場合は、相続内容に関して揉め事が発生する可能性も少なからずあります。それを防ぐために、配偶者がまとめて相続する選択を取ることは良いでしょう。
ただ配偶者が認知症等になった際、仮に該当の不動産が不要で売却をしようとしても実行できない場合があります。
その際は「成年後見制度」を利用するなどして、代理人の許可を得ないと売却行為ができず手間取ってしまう可能性はあるでしょう。
また配偶者が亡くなった際は子供が相続人となるため、配分等で揉めそうであれば事前に遺言書を作成しておきトラブルが発生しないよう配慮しておくことも重要です。
子供に名義変更する場合
子供に名義変更するメリットは、配偶者が亡くなった際にまた不動産の相続処理を行わなくて良い点にあります。
ただ先述の通り、子供が複数人いる場合は誰が土地を取得するのかなどの点で話がまとまらない可能性も大いにあるでしょう。
そのため、話がまとまらない・該当不動産に誰もすむ予定がないといった場合なら売却も検討することも1つの手段です。
現金化すれば分割自体は難しくなく、今後不動産の管理方法でトラブルになるリスクもなくなります。
いずれにせよ、まずは子供同士で話し合いを実施して、互いが不満のない内容にできないか検討することをおすすめします。
名義変更により共有名義にするのは避けるべき
名義変更の際、たとえば子供同士で共有名義を検討する方は多いでしょう。
しかし共有名義は基本的に避けておくべきです。というのも共有名義はトラブルの種とも言われており、後に不動産の管理をめぐって共有者同士で衝突しやすいためです。
共有者同士は仲が良く衝突は考えられない場合でも、共有者が亡くなればその子供達が新たな共有者となります。つまり子供たちにトラブルの種を残してしまうことになり、その観点からも共有名義にする場合は慎重になるべきと言えます。
まとめ
亡くなった親の土地の名義変更について、改めてですが現在は必須ではありません。
しかし2024年4月から、法改正施行後、名義変更は必須となります。
ですので土地の名義変更に関しては「実施すべきもの」と捉えておいて良いでしょう。
その上で配偶者および子供、誰の名義に変更すべきかはそれぞれのメリットデメリットを把握した上で決めることをおすすめします。
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