はじめて - 購入・所有の注意点と税金 2024.03.25

【要注意】住宅を親子共有名義で購入するメリット・デメリットとは?

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親子共有名義で住宅を購入すると、住宅ローンの借入可能額が増えるなどのいくつかメリットがあります。

しかし一方で、共有名義でローンを組むデメリットについても把握しておかないと、後からリスクを負うことになってしまいます。

そこで本記事では、親子共有名義で住宅を購入するメリット・デメリット、利用できる住宅ローンの種類や注意点などについて解説します。

親子共同名義で住宅を購入するメリット

まずは親子共同名義で住宅を購入するメリットを見てみましょう。

住宅ローンの借入可能額が増える

親子共有名義で住宅を購入する際には、「ペアローン」と「リレーローン」の2つの選択肢があります。

ペアローンを選んだ場合は、親子で並行して返済を行っていくため返済期間は短くできたり、、借入額を増やすことができます。

なお、基本的には親と子で独立してローンを組むため、融資方法を親子で分けることが可能です。

例えば親は変動金利、子は固定金利といった選択が可能になります。

年齢による制限を考慮せずに済む

住宅ローン審査では、借入時年齢や返済時年齢が重要な項目ですが、共同名義であれば年齢の制限を考えずに済みます。

親世帯からすれば、住宅ローンを組む時の年齢による制限は必ず考えなければいけません。

そのため、同居を前提とした二世帯住宅の購入において、住宅を親子の共有名義でローンを組むのは有効な手段です。

親子共同名義で住宅を購入するデメリット

続いて親子共同名義で住宅を購入するデメリットを紹介します。

親が亡くなった際、親の債務が残り子の負担が増える

住宅ローンを親子共同名義でリレーローンで組むと、親が亡くなった場合の返済は子どもが負担することになります。

リレーローンを組む際は、返済計画を慎重に検討しましょう。

親の退職後もローンの支払いは続く

親が病気や怪我で働けない、あるいは退職した場合でもローンの返済は続きます。

親に十分な資金がない場合は、子どもがローンの返済を負担しなければいけません。

共有名義で住宅ローンを組んで、不動産を購入する際は団体信用生命保険に加入するのが一般的です。

しかし、その契約者は子どもになるケースがほとんどなので、親が亡くなってもローンが一括で返済されることはありません。

親の死後、相続トラブルが発生しやすい

子どもにほかの兄弟姉妹がいる場合、親の所有している共有持分で相続の際にトラブルになる可能性があります。

親が亡くなった場合、共有名義である子どもがすべて相続するわけではなく、ほかの兄弟姉妹との共有する可能性がでてきます。

兄弟姉妹間で不動産を共有することになると、その不動産の利用方法について、意見が合わずトラブルに発展することも多いです。

ローン返済が滞ると他共有者に請求が来る

親子共同名義でローンを組めば、当然ながらどちらかの返済が滞ると他の共有者に請求がきます。

たとえ親子といえど、返済をすべて自分が負担しないといけないケースもあることを考えて、十分に検討してローンを契約してください。

共有者全員が合意しないと売却できない

共有名義の不動産は、持分を共有している人たち全員の同意がないと売却できません。

親子共有名義の場合、たとえば子どもが転勤等の事情で住宅を売却して住み替えを検討しても、親の同意がないと売却が実現できません。

親子共有名義で使える住宅ローンの種類

ここからは、親子共有名義で使える住宅ローンを紹介します。

親子共有名義で住宅を購入しようとお考えの方は、参考にしてください。

親子リレーローンの概要

リレーローンは、親のローン返済からスタートして子どもに引き継がれます。

共有名義で不動産を購入する際に利用される、一般的なローン方式です。

親が返済している間、子どもは猶予があるので、その間に資金の調達ができるのがメリットです。

親が高齢の場合でも子どもが45歳以下であれば、リレーローンを組めます。ただし、団信加入ができるのは子どもだけになる場合がほとんどなので、親は別の生命保険に加入するなどして、対策を行いましょう。

もし親が亡くなった場合は、残り全ての債務が子どもに引き継がれます。

親子リレーローンのメリット

リレーローンの大きなメリットは、家族として給与を合算できる点です。

親と子が協力してローンを組むので、借りられる金額が増えるケースが多いです。一人では手の届かない不動産も購入できます。

さらに、リレーローンは長い返済期間でローンを組むことができます。多くの住宅ローンでは、返済が完了する時点での年齢が、80歳が上限とされていることが一般的です。

たとえば、親が55歳であれば、個々で住宅ローンを組む場合、最大でも25年間のローンしか選べないケースが多いです。

しかし親子リレーローンでは、子どもの年齢が基準になるため、より長い返済期間を設けられます。したがって、月々の返済負担を軽減でき、持続可能な返済プランを組めるでしょう。

親子リレーローンのデメリット

デメリットとして挙げられるのは、リレーの段階での管理が難しい点です。

たとえば、親が予期せぬ短期間で亡くなると、子供はローンの返済責任を即座に引き受けなくてはなりません。

そのようなリスクを緩和するために、集団信用生命保険(通称:団信)があります。

団信というのは、住宅ローンを返している途中で借り手が死去したり、重度の障害を負ったりした場合に、保険会社がその後のローン返済を引き受ける制度です。

親子リレーローンの場合、通常は子どもだけがこの保険に加入することが多いです。

そのため、子どもは完全に返済責任を担う必要がありますが、親であるというだけでなく、子どもも「借金を負っている」という意識を持って、いつでも返済がスタートする準備をしておくことが重要です。

さらに、条件として「親と一緒に住む(または将来的に住む予定)」といった制約がある場合もあります。

ライフスタイルや希望する住まいの場所などをしっかりと話し合い、計画を練る必要があります。

リレーローンを利用することで、親だけでなく子どもも負債を持つため、他の新たなローンを組む際には制限がかかる可能性も高いです。

ペアローンの概要

親の次に子どもが返済をするリレーローンの一方で、親と子どもが同時に返済をしていくのがペアローンです。

親と子どもがお互いに連帯保証人になりますが、団信にはどちらも加入するので、片方が死去した後に返済が引き継がれることはありません。

親子ペアローンのメリット

ペアローンの一番のメリットは、より多くの金額を借りられる可能性が高いという点です。

収入を合算する他の方法(たとえば連帯債務)もありますが、その合算限度があり、ペアローンほど柔軟ではない場合もあります。

また、ペアローンの場合、団信にも個々に加入できます。たとえば、特定のプラン(例:フラット35)で夫婦が連帯債務で申請する場合、夫婦両方が加入できる団信も選べます。

しかし、連帯債務では通常一方しか加入できず、その人が亡くなるとローンはそのまま残ってしまうこともあるので注意が必要です。

親子ペアローンのデメリット

ペアローンでは、親子が個々に団信に参加できるというメリットがありますが、一部制限があります。

具体的には、一方が亡くなった場合、その人が加入していた団信でカバーされるのはその人自身のローン分だけです。

したがって、他方が独自に担っているローンには適用されず、引き続き支払いが必要です。

他にもたとえば、手数料が多くかかる点もデメリットとして挙げられます。2つの別々のローン契約をするため、登記費用、法定費用、印紙代といった費用が多くなります。

さらに、ペアローンによって借入総額が大きくなることも問題となる場合があります。確かに、親子の収入を合算することで、一人では手が届かない不動産が手に入るかもしれません。

しかし、その反面、全体の返済額が多くなるため、生活費が圧迫され、返済不可能な状況に陥るリスクも高くなる可能性も考慮する必要があります。

親子共有名義における注意点

親子共有名義にする際の注意点をまとめます。

持分割合は出資額に合わせる

持分割合は、出資額に合わせるのが原則です。

たとえば、3,000万円で不動産を購入する場合に親が1,000万、子どもが2,000万円のローンを契約したのであれば、親が1/3・子どもが2/3の持分割合となります。

仮に、この出資額で親の持分割合を1/3より多くしてしまうと、子どもから親への贈与と見なされてしまいます。

売却等は共有者全員の同意が必要

前述した通り、共有名義の不動産を売却するのであれば共有者全員の同意が必要です。

親が死去した場合、子どもに兄弟がいるなら兄弟全員と共有することになります。

そこで兄弟同士が遠くに住んでいたり、なかなか会えない場合だと売却時に手間がかかるので、購入時には売却の時のことも考えておきましょう。

転勤などライフプランの変化も想定する

もし子どもが転勤などでライフスタイルが変わる場合に、親は住み続けるのかまたは売却するのかを事前に話し合っておいた方がいいでしょう。

住宅を購入する際は、ライフスタイルの変化も十分に想定しておく必要があります。

すでに親子共有名義の場合の解消方法

最後に、すでに親子共有名義にしているが解消を考えたい方向けに、3つ代表的な方法を紹介します。

同意を取り不動産を売却する

共有名義の不動産は共有者全員の同意がないと、処分・売却することはできません。

共有者全員が同意しているのであれば、普通の不動産と同じなので流れは特に変わりません。

共有名義の不動産を売却して解消する方法は、親子でしっかりと話し合いができる方におすすめです。

親から子へ生前贈与を行う

生前贈与はその名の通り、生きている間に贈与をすることです。

共有名義の不動産は共有者全員の同意が必要になりますが、親が認知症を発症してしまった場合、子どもは勝手に売却できません。

また、親が認知症になってから子どもが不動産の活用に困ることもないです。

自身の持分のみ売却する

最後は、自分の持分のみを売却する方法です。不動産を売却することはできませんが、自分の共有持分だけであれば、他の共有者の同意がなくても売却できます。

しかし、共有持分だけを購入しても不動産を活用できないため、買い手を見つけるのが非常に難しいです。

共有持分を売却できれば、もしトラブルが発生しそうな場合でも回避できます。もし、共有持分の売却を考えているのであれば、専門家に相談してみましょう。

なお弊社も共有持分の扱いを熟知しており、買取を含めた共有持分に関する問題解決に注力しております。複雑な法律関係の問題も解決できるよう弁護士や税理士とも連携しておりますので、現在お悩みがある方はお気軽にご相談ください。

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まとめ

住宅を親子共有名義で購入すると、全体の借入額が一人でローンを組む場合よりも大きくなり、返済期間は変わらないといったメリットがあります。

一方で、リレーローンの場合は親が死去した時に返済義務が子どもに引き継がれるというデメリットもあります。

また、リレーローンかペアローンかで団信への加入の仕方や年齢制限が違うので事前に確認して、慎重に検討しましょう。

もしすでに親子共有名義で共有関係を辞めたい場合は、自身の共有持分だけを売却する、生前贈与を行うなどの方法で解消することを検討しても良いでしょう。

ただ共有名義に関する問題は法律や税金周りも絡み、複雑になるケースがほとんどです。弊社では弁護士や税理士など各業界のプロと連携して問題解決に取り組んでおります。

ご相談は常に承っておりますので、お気軽にご相談ください。

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